─暗い群青の空
誰かの煙草が馨った
深夜の交差点
裏通りには眩いネオンの海
夜の帳に包まれた街は
日中の騒々しさをひた隠すかの様に
切り取られた空間に存在している
ふと見上げた電光掲示板が
日付の変わりを知らせた
冷たい風が吹き抜ける河原町は
私を非情に追い出す
大勢の黒服を着た男達
夜遊びに繰り出す若者
それらを横目で一瞥しながら
木屋町、先斗町と通りを跨ぐ
四条大橋の下を流れる川は
恋人達の語らいの場
いつか二人で来た川
漆黒の中ぽつりぽつりと浮かぶ人影
「あたしもあの場にいたのにな」
呟く台詞は風に流された
追憶で色づけた街並みは
私を受け入れない
もう此処にはいられない
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