─失ったものは、何故だかとても綺麗。
「美晴、キスしよっか」
昨日の夢。
翳りを帯びないその景色は、
ずっと望んでたものだった。
君はあの頃のまま笑ってて、
あたしはあの時の様に幸せそうだった。
今日は大阪梅田で友達と会う約束。
ふらふらと当てなく街を彷徨う。
喋りながらの彷徨い歩きは、何処へ向かうか分からないから楽しい。
ふと気付くと、JR大阪駅の近くまで来ていた。
そこから見える景色。
見慣れた、でも過ぎ去ったヴィジョン。
ヨドバシカメラ前は、私達の待ち合わせ場所だった。
バイクで駆け抜けたあの道や、語り明かしたあの公園は、
変わらずそこに存在していた。
あんな夢を見た次の日。
「もしかしたら、偶然会えるかも…」なんて。
道行く若い男の人の顔を凝視したり、
大通りに止まっているバイクを確認したり。
結局、過去に心囚われている自分に気付く。
「仕方ないんちゃう?」って友達は慰めてくれるけれど、
あたしはもっと、前が見たいの。
行動と心情は裏腹。
操作出来ないものなのね。
明日を過ぎると、またカレンダーをめくらなければいけない。
二月は「逃げる」。
あとどれ位すれば、君をアルバムに仕舞えるのだろう。
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