君の声 【後】

2005年5月27日 恋愛
 
気紛れな優しさを振りまいた後は
また何時もの知らん振り
 
 
 
─やっぱりあれは、彼だったんだ…。

携帯をきつく握り締めたまま、無言で歩く私。
如何して出逢ってしまったんだろう。
そんなの“今更の話”なのに。
 
とりあえず友達に
「やっぱアイツだったわ」って報告をして、沈黙。
その娘も、私と彼の経緯を知っているから、何も言えなかったのだろう。
 
 
「あたしのこと呼んだっしょ?」 
 
緊張で動かない指で、必死に画面に言葉を紡ぐ。
今更。ほんとに、今更。
如何にもならないの、分かってる筈じゃない。
 
「呼んだ。美晴、無視するんやもん。
嫌われてるんかなぁ、って思うやん。」
 
 
本当に、この人は。
確信犯で私を振り回すのが好きなんだ。
生まれた感情は、慕情ではなく敵対心。
 
「そっか。誰か分かんなかったから。
また会ったら声かけてよ」
 
出来る限りそっけなく。
でも一筋の光は消し去らない様に。
画面越しの彼に、この想いを悟られない様に。
いじっぱりな私の、精一杯の攻撃。
 
 
だけどそれから、私の携帯が鳴る事は無く。
私の想いはまた宙ぶらり。
 
掻き乱された心は未だ
元に戻らず居るというのに…。
 

『また貴方は、あたしに背を向けるのですね』

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